ムスタグ・アタのベースキャンプから下の村までは１５キロくらい離れている。
西稜での登山を終えた人はその村まで降りてゆく訳だが、そこにいくつかの選択肢がある。まずはベーシックに自分の足で歩く、これはもちろん費用ゼロ。次は現地の人が乗ってるバイクで二人乗り。これは20ドルだったけな。運転は持ち主、次がらくだ。１頭で１００キロの荷物を運べるらしいらくだは帰り道、登山を終えた人が観光の定番のようにのって帰ってゆくのだ。人数が多い隊だと１０頭とかが数珠つなぎになるのでそのすがたは壮観だし、それっぽい。
で、これが25ドル（もちろんみなUSドル）。まだ自分たちが登山中のときからこの様子をみていたので、山を下りるときはらくだだ！となかば決めていた。

しかし、その後、ある人が馬に乗っておりていった。それをみた俺は「これだ！」と思い。密かにそのとき（自分たちがおりるとき）を楽しみにしていた。なぜ馬かといえば、それはらくだはつながれていてただのっていくだけ、バイクもみずしらずの地元の人にしがみついて運転をまかせるのみ。馬、自分ひとりで手綱をとりすきなように動ける。しかも値段は15ドル！現地の物価からするといいねだんだが、はっきりいって安い！

後もう一つの理由はこのベース付近に住んでいるのはキルギス族。”キルギス”といえば、２年前にキルギス共和国でのレースで馬に乗って、人が歩くより遅いペースでしか進めず、草原で文字通り”道草”ばからたべる馬でさんざん苦労してリベンジの機会をうかがっていたのだ。

そんなこんなで、馬を用意してもらって私はくだることにした。ちなみに他の３人の仲間は歩き。
道をただたどれば着くのだが来るときと同じでは・・、とおもっているところ、直前を違う道でくだる地元の人をみつけ、そっちの道をいくことに。

しかし、道、とはいってほぼ獣道。途中、不明瞭になるし最後のほうはずいぶん本来の道からはなれたので、その小道からははずれまっすぐに下にみえる本来の道を目指す事に。ここにいたるまでも馬には乗っていたのだが、歩くのが精一杯で走るなんてとてもできない感じ。しかし、このショートカットルートの途中から細かな丘を縫うようにいく獣道てき道を発見。そこから軽快に速足。いい感じ。しかも、途中でたまたまウサギらしきがうちらの前に出てしまったらしく、あわてて逃げてゆく。逃げてゆくけど、同じ方向。馬鹿だな〜と思いつつも、道なき草原で狩りをして、馬にのりながら獲物を追いつめるようだったので、ペースをあげつい楽しんでしまった。

その後、無事したの道にでた。そしたら、やっぱり草原でかけてみたくなり馬に合図をし駆けた。
これが気持ちいいの何のって！馬はすごく従順だし乗り心地はいいしでもう最高！一昨年のあの悔しい思いも一気にふっとんだ。
今回は、サミットはできなかったものの、こんないい事もあったのだった。